ホームページ制作費の勘定科目|広告宣伝費か資産計上かの判定と仕訳例【2026年改正対応】

ホームページ制作費の勘定科目を解説する記事のアイキャッチ

ホームページを作ったあと、請求書を前にして手が止まる方は多いようです。
広告宣伝費でいいのか、それとも資産に計上して何年かに分けるのか。調べるほど「場合による」という説明ばかり出てきて、結局どっちなのかが分からない。

こんにちは、三重県でホームページ制作をしているMYコンサルティングです。
当社は作る側であると同時に、自社も法人としてfreeeで記帳している側でもあります。この記事は、その両方の立場から書きました。判定に必要なことは、実はそれほど多くありません。

先に結論

・お店や会社の紹介が目的のサイトなら、広告宣伝費で全額その年の経費にできるのが原則
・ネットショップや予約システムなど「機能」が入ると、その部分はソフトウェアとして5年で償却
2026年4月から、40万円未満なら全額経費にできる特例が使えるようになりました(それまでは30万円未満)

判定は3パターンしかない

ホームページ制作費の勘定科目は、突き詰めると次の3つのどれかに落ち着きます。

ホームページ制作費の勘定科目を広告宣伝費・ソフトウェア・繰延資産の3つに判定するフローチャート

判定の軸になるのは「機能があるか」と「更新するか」の2つだけです。
そして意外に思われるかもしれませんが、金額の大小はこの判定には関係ありません。100万円のサイトでも、会社紹介が目的なら広告宣伝費で全額経費になり得ます。

金額が効いてくるのは、資産計上と判定された「あと」の話です。ここを混ぜて説明している解説が多いので、順番に見ていきます。

会社案内、店舗紹介、メニュー、アクセス、お問い合わせフォーム。
こうした「デジタルの会社案内」にあたるサイトであれば、支払った年度に広告宣伝費として全額を経費にできます。中小企業のホームページは、ほとんどがこのパターンです。

理由は、内容が定期的に更新されていくため、その支出の効果が1年以上には及ばないと考えられるからです。

「国税庁が定めている」という説明について

この考え方は、かつて国税庁のサイトに掲載されていたQ&Aで示されていたものです。
ただしそのQ&Aは現在、国税庁のサイトからは削除されています。削除されたのは見解が変わったからではなく、法人税上の取扱いは掲載時のままとされていますが、「国税庁が明文で定めている」と言い切れる状態ではありません。
実務上は広く踏襲されている考え方だと理解しておくのが正確です。

仕訳例|制作費288,000円(税別)を普通預金から支払った場合(税込経理)

(借方)広告宣伝費 316,800 / (貸方)普通預金 316,800

税抜経理であれば、広告宣伝費288,000円と仮払消費税28,800円に分けて記帳します。

パターン② ソフトウェア(無形固定資産)

次のような「プログラムとして動く機能」が組み込まれる場合、その部分はソフトウェアとみなされ、資産に計上したうえで減価償却していきます。

資産計上になりやすい機能

・ネットショップ(カート・決済機能)
・予約システム
・会員登録/ログイン機能
・物件検索や在庫検索などのデータベース連動
・顧客管理システムとの連携

耐用年数は5年です。自社で利用するソフトウェアの法定耐用年数で、国税庁のタックスアンサーでも、複写して販売する原本や研究開発用のもの以外は5年と示されています。

仕訳例|60万円のECサイトを構築した場合(定額法・5年)

取得時:(借方)ソフトウェア 600,000 / (貸方)普通預金 600,000
決算時:(借方)減価償却費 120,000 / (貸方)ソフトウェア 120,000

取得価額に何を含めるかも決まっています。
導入にあたって必要な設定作業の費用や、自社の仕様に合わせるための修正費用は含めます。一方で、製作原価のおおむね3%以内におさまる少額な付随費用は含めなくてもよいとされています。

パターン③ 繰延資産・長期前払費用

作ったきり1年以上まったく更新しないサイトは、効果が1年を超えて及ぶとみなされ、繰延資産(長期前払費用)として使用期間で按分する扱いになることがあります。

ただ実務では、このパターンに当てはまるサイトはそう多くありません。お知らせを1本入れる、営業時間を直す、その程度の更新があれば通常はパターン①として扱われます。

言い方を変えると、放置されたサイトは税務上も不利になるということです。集客の面でも経理の面でも、更新しないことに良いことは一つもありません。

金額で決まる部分【2026年4月改正】

ここからは、パターン②で資産計上すると判定されたあとの話です。
金額によっては、5年待たずに一気に経費へ落とせます。ここに2026年の改正が効いてきます。

ホームページ制作費を資産計上する場合の金額別の取扱い早見表

2026年4月1日から、上限が30万円未満→40万円未満に

青色申告をしている中小企業者等が使える「少額減価償却資産の特例」が拡充されました。
・対象金額:30万円未満 → 40万円未満(2026年4月1日以後に取得したもの)
・従業員数の要件:500人以下 → 400人以下
・年間の合計限度額:300万円(変更なし)
・適用期限:2029年3月31日まで延長

※ 国税庁のタックスアンサー(No.5408)には、改正前の「30万円未満」の記載が残っている場合があります。数字が食い違って見えたときは、その資産をいつ取得したかで判断してください。

つまり2026年4月以降であれば、39万円の予約システムを入れても、その年に全額を経費にできます
3月までに導入していたら30万円の壁に引っかかって5年償却だったので、タイミングによる差は小さくありません。

なお10万円未満であれば、この特例を使うまでもなく全額が経費になります。20万円未満なら3年で均等に償却する一括償却資産という選択肢もあり、こちらは償却資産税の対象外になる利点があります。

⚠ 税込か税抜かで結論が変わります

この金額判定は、自社が採用している経理方式の金額で行います。税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額です。
たとえば税抜39万円のシステム。税抜経理なら40万円未満におさまりますが、税込経理だと429,000円となり特例の対象から外れます
免税事業者は税抜経理を採用できないため、税込での判定になります。当社のお客様にも免税事業者は多いので、金額が境目に近いときは見積もりの段階でお伝えするようにしています。

月額制・分割払いの場合

最近は「初期費用0円・月額◯円」というホームページのサービスが増えました。当社もこの形をとっています。

月額制の場合、資産計上という話はそもそも出てきません。毎月の支払いを、その都度その期の費用として処理するだけです。
科目は広告宣伝費、支払手数料、通信費のいずれでも誤りではありません。当社は自社の記帳では広告宣伝費に寄せています。

「月額制」と「分割払い」は扱いが違います

紛らわしいのですが、この2つは別物です。
月額利用料は、毎月サービスを受ける対価なので、毎月費用になります。
分割払いは、制作費の総額が先に確定していて支払いを分けているだけなので、資産計上や一括経費の判定は総額で行います。
契約書のどちらに当たるかを確認してください。ここを読み違えると、決算のときに金額が合わなくなります。

ドメイン・保守料など周辺費用の科目

制作費以外にかかる費用の科目もまとめておきます。いずれも金額が小さいので、あまり悩まなくて大丈夫です。

費用一般的な勘定科目補足
ドメイン取得・更新料通信費支払手数料でも可
サーバー利用料通信費年払いでも通常は全額その期の費用
SSL証明書通信費無料の証明書なら費用は発生しない
保守・管理料(月額)広告宣伝費/支払手数料継続して同じ科目を使う
SEO対策費広告宣伝費
写真撮影・ライティング広告宣伝費制作費に含めることも多い
WordPressの有料テーマ消耗品費/支払手数料10万円未満がほとんど

「保守料の勘定科目は何が正解ですか」という質問をよくいただきますが、正解が1つに決まっているわけではありません
大切なのは、一度決めた科目を毎期継続して使うことです。去年は通信費、今年は広告宣伝費、という揺れ方が一番よくありません。

リニューアル費用の扱い

リニューアルも、基本の判定は新規制作と同じです。そのうえで、もう一つ見るポイントがあります。

デザインや原稿を作り直すだけであれば、広告宣伝費として処理できます。
一方、予約システムやEC機能を新しく追加する、あるいは既存システムの性能を大きく高めるような改修は、資本的支出として資産計上の対象になります。単なる不具合の修正や現状維持のための手直しであれば、費用処理で構いません。

リニューアル全体の進め方はこちらの記事にまとめています。

制作会社から見た「見積書の内訳」の話

ここからは、税理士の解説記事にはあまり出てこない話です。制作する側だからこそ見えている部分だと思います。

見積書の内訳の書き方で、初年度に経費にできる金額が変わります。

たとえば、こういう見積書。

ホームページ制作一式  600,000円

この1行だけだと、中身の切り分けができません。
予約システムが入っていることが分かっている場合、税務調査の場面で「どこまでがソフトウェアか」を説明できず、全額をソフトウェアとして資産計上せざるを得なくなることがあります。

一方、こう分かれていればどうでしょうか。

サイト設計・デザイン・コーディング  400,000円
予約システム構築          200,000円

40万円は広告宣伝費として初年度に経費、20万円はソフトウェアとして資産計上(しかも20万円なら特例で全額経費も選べます)。
同じ60万円でも、初年度の損益はまったく違うものになります。

ですから発注のときは、「経費処理したいので、内訳を分けて出してもらえますか」と一言伝えてください。まっとうな制作会社なら対応します。当社は最初から分けてお出ししています。

見積書の見方や費用の相場そのものについては、ホームページ制作費用の相場記事で詳しく書いています。

よくある質問

個人事業主でも法人と同じ考え方でいいですか?

判定の考え方は同じです。ただし40万円未満を全額経費にできる少額減価償却資産の特例は青色申告が条件なので、白色申告の場合は10万円未満・20万円未満の基準までとなります。

補助金でホームページを作った場合はどうなりますか?

制作費は通常どおり計上し、受け取った補助金は雑収入として収益に計上します。制作した年度と補助金の入金年度がずれると、思わぬ税負担が出ることがあります。金額が大きい場合は圧縮記帳という方法もあるので、税理士に相談してください。

自分で作った場合、経費にできるものはありますか?

ドメイン代、サーバー代、有料テーマやプラグインの購入費、写真素材の購入費はいずれも経費になります。ただし自分が作業した時間は経費になりません。個人事業主が自分に人件費を払うことはできないためです。

どの科目にするか迷ったときは、どう決めればいいですか?

迷ったら、判断に困らない方を選んだうえで毎期同じ扱いを続けてください。会計では継続性が重視されるので、年によって科目が変わることのほうが問題視されます。それでも判断がつかない金額であれば、税理士か所轄の税務署に確認するのが確実です。

ホームページの耐用年数は5年で合っていますか?

資産計上する場合は5年です。ただし広告宣伝費として処理する場合、そもそも耐用年数という考え方は登場しません。「ホームページは5年償却」と一律に説明されることがありますが、それは資産計上するケースに限った話です。

まとめ

整理すると、こうなります。

会社や店舗の紹介が目的で、ときどき更新するサイトなら広告宣伝費で全額経費
EC・予約・会員機能などが入るなら、その部分はソフトウェアとして5年償却。ただし2026年4月以降なら40万円未満は全額経費にできます。

そして忘れがちなのが、見積書の内訳です。ここが分かれているかどうかで初年度の経費額が変わります。発注前に一言伝えるだけの話なので、ぜひ覚えておいてください。

この記事についての注意

本記事は2026年8月時点の情報をもとに、一般的な取扱いをまとめたものです。実際の処理は事業の内容・契約の形態・会社の状況によって変わります。金額が大きい場合や判断に迷う場合は、必ず顧問税理士か所轄の税務署にご確認ください。

参考にした資料:国税庁タックスアンサー No.5461(ソフトウエアの取得価額と耐用年数)/ No.5403(少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)/ No.5408(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)

当社では、制作費の内訳を分けた見積書を標準でお出ししています。
初期費用0円の月額プランと、買い切りのプランの両方をご用意しているので、「今期は経費を増やしたい」「初期投資を抑えたい」といったご事情にあわせて選んでいただけます。料金プランはこちらからご覧ください。

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